テニスガットの素材は大きく分けて以下の4つです。それぞれの特徴を解説します。
また、番外編としてハイブリッドについてもページ下部にて解説します。
モノフィラメント
上の2つのガットの断面図をご覧ください。中に太い芯が1本あり、その周りに細かいものが巻き付いているのが特徴的です。
モノフィラメント(以下:モノ)の性能は以下の通り。
- 高反発
- 高耐久
- シャープな打球感
安価でクセがなく、初心者から上級者まで幅広く使われるガットです。特にGOSENのミクロスーパーが有名。
対象プレーヤー:すべて
マルチフィラメント
上の2つのガットの断面図をご覧ください。モノと違って芯は無く、細かい繊維が束になっているのが特徴的。
マルチフィラメント(以下:マルチ)の性能は以下の通り
- 柔らかい打球感
- 食い付きが良い(ガットとボールの接している時間が長い)
- モノほど飛びすぎないので細かいコントロールがしやすい
- 耐久性は低め
これまた初心者から上級者まで幅広く使われていて、特に女性の方が多く使用しています。
モノより少し値段は上がりますが、柔らかい打球感なので手首や肘を痛めた方にもおすすめです。
対象プレーヤー:誰でも扱えるが、特に柔らかいタッチを好む人
ポリエステル
現在、ガットの中でもめざましい進歩を遂げているのがポリエステル(以下:ポリ)です。基本的には単一構造ですが、右の画像のように五角形のガットもできたり加工が容易。第1世代と呼ばれるポリの黎明期は耐久性やスピン性能こそ高かったものの、テンション維持性能が悪すぎたり、硬すぎで故障を招くといった欠点がありました。
しかし第4世代と呼ばれる現在ではそれらの欠点は克服されていて、多くのプロが愛用しています。
そんなポリの性能は以下の通り。
- 超高耐久
- 高いスピン性能
- 食い付きが良い
- 打球感は硬め
- 反発力は高くない
欠点はだいぶ改善されましたが、基本的には自分から振っていくハードヒッター向けのガットです。非力な方や、よくオフセンター(真ん中を外す)で打ってしまう初心者の方にはおすすめできません。
しかしモノやマルチだと飛びすぎてしまう、すぐ切れてしまうといった方には最適なガットです。
種類が多いのでこちらのページから気になるガットを調べましょう。
対象プレーヤー:学生、中級~上級
ナチュラル
ナチュラルガットは羊や牛の腸から作られており、”ガットの王様”とも呼ばれています。パッケージを見ただけではナチュラルかどうかわからないですが、値札を見ればわかります。安くても5,000円以上します。高いものでは10,000以上することも…。
そんなナチュラルガットの特徴は以下の通り。
- 高反発
- 超柔らかい打球感
- 高いテンション維持性能
- 耐久性は高くない
- 天然素材のため湿気に弱い(雨の日はあまり使用しないように)
高価なわりに湿気に弱く、耐久性もそこまでです。ただ性能としてはマルチの完全上位互換です。
テンション維持性能がズバ抜けて高いので、張りたてのオイシイ時期が長い。
ですので滅多にガットが切れない方にはおすすめ。
一度使ってハマった人は『これじゃないとダメだ』となる方も少なくありません。
使用するために必要なのは、経済力。
対象プレーヤー:お金持ち、あまりガットが切れない人
番外編:ハイブリッド
メイン(縦糸)とクロス(横糸)それぞれ別のガットを使用するのをハイブリッドといいます。錦織圭選手やフェデラー選手もハイブリッドを取り入れていますね。
ハイブリッドにすることでどんなメリットがあるのか?
それはズバリ”いいとこどり”です。下の表はそれぞれが影響する度合いです。
メイン(縦糸) | クロス(横糸) | |
反発力 | 〇 | 〇 |
スピン | ◎ | 〇 |
耐久性 | ◎ | △ |
打球感 | △ | ◎ |
メインのガットがスピンや耐久性、クロスのガットが打球感に強く影響します。
よくある組み合わせとしては、メインにポリエステル、クロスにナチュラルです。
ポリのスピン性能と耐久性はそのままに、打球感はナチュラルの柔らかさ。最強。
テンションが落ちていく速度に縦と横でばらつきが出てしまうのが欠点ですが、組み合わせは自由ですので可能性は無限大です。
こういう研究もテニスの醍醐味だと思います。ハイ。